
身内の不幸はいつ起こるかわからないものです。万が一、車の所有者が亡くなってしまった場合、残されたご家族は車の名義変更を行う必要があります。
とはいえ、ただでさえショックや悲しみで頭が真っ白になっている中、名義変更に必要な書類がわからず、どのような手順で行うのか…と、戸惑ってしまう方もいらっしゃることでしょう。
そこで、この記事では、車の所有者が死亡した場合の名義変更手続きについて、必要な書類や手続きの流れ、注意点などを分かりやすく解説していきます。
車の所有者が死亡した場合の名義変更手続き
車の所有者が死亡した場合、その車は遺産の一部となるため、相続手続きが必要になります。遺産分割協議が成立した後に、相続分に応じて車の名義変更手続きを行うことになります。
この名義変更手続きは、単に所有者を変更するだけでなく、自動車税や自動車重量税などの「納税義務者を変更する手続き」であり、速やかに行うことが重要です。
なぜ名義変更が必要なのか
名義変更が必要な理由は、主に以下の3点になります。
- 法的義務: 道路運送車両法により、所有者の変更があった場合は15日以内に変更登録をすることが義務付けられています。期限内に手続きを行わないと、罰則が科される可能性があります。
- トラブル防止: 故人の名義のままでは、自動車税の納付書が故人の住所に届き続けるため、万が一、その車で事故が発生した場合に相続人全員が責任を問われる可能性があります。名義変更を行うことで、このようなトラブルを未然に防ぐことができます。
- 売却・廃車手続き: 名義変更が完了していないと、車の売却や廃車手続きを行うことができません。将来、車を売却したり廃車にする予定がある場合は、必ず名義変更を行っておく必要があります。
名義変更の期限
名義変更の期限については、明確な法律上の定めはありませんが、「道路運送車両法」では相続の開始日(通常は死亡届提出日から)から15日以内とされています。そのため、相続人が決まり次第、速やかに名義変更の手続きを進めるようにしましょう。
ただし、相続人がすぐに確定しないなどの事情がある場合は、多少遅れても手続きは可能です。
遅延した場合には「道路運送車両法」に基づく罰則(過料)が科されることがあるため、速やかな手続きが望まれます。
名義変更の種類
名義変更には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
名義変更手続きの場所
名義変更手続きをする場所は、車両区分によって異なります。
名義変更手続きの前にやること
名義変更の手続きを行う前に、事前にいくつかの重要な確認をしておく必要があります。手続きをスムーズに進めるためにも、しっかりと準備を行いましょう。
車の所有者を確認
まずは、故人が車の単独所有者であったか、それとも共同所有者であったかを確認します。
単独所有であれば手続きは比較的シンプルですが、共同所有の場合は、他の所有者の同意が必要となる場合があり、手続きが複雑になる可能性があります。自動車検査証を確認すると、所有者の情報が記載されています。
また、所有権が故人のものであったとしてもローンが残っている場合は、ローン会社への連絡も必要になります。残債がある場合は、相続人がその債務を相続するか、車を売却して返済するなどの対応が必要になります。所有権がディーラーやローン会社にある場合は、名義変更の手続きが異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
車の相続人を決める
次に、誰がその車を相続するのかを決定します。
相続人は、民法で定められた相続順位に基づいて決定されます。基本的には、配偶者と子が相続人となりますが、子がいない場合は故人の父母が相続人となります。
さらに、父母も既に亡くなっている場合は、故人の兄弟姉妹が相続人となります。相続人が複数いる場合は、誰が車を相続するか、もしくは売却して現金化し相続財産として分配するかなどを話し合って決定する必要があります。

車の相続と譲渡の違い
相続と譲渡は、どちらも車の所有権を移転する方法ですが、それぞれ手続きや費用が異なります。
「相続」は、故人の財産を法定相続人または遺言で指定された人が引き継ぐことで、「譲渡」は、生前に所有者が任意で他の人に財産を移転することです。
車の名義変更においては、「相続」の場合は相続関係を証明する書類が必要となり、「譲渡」の場合は譲渡証明書などが必要となります。
また、税金についても、「相続」の場合は相続税、「譲渡」の場合は贈与税が発生する可能性があるため注意が必要です。
自動車検査登録総合ポータルサイトでは、自動車の登録手続きに関する情報が提供されています。具体的な手続きや必要書類については、お住まいの地域の運輸支局にお問い合わせください。
名義変更手続きの流れ
車の所有者が亡くなった場合の名義変更手続きは、複雑に感じるかもしれませんが、順序立てて進めていけばスムーズに進めることができます。以下で詳しく見ていきましょう。
1.相続の開始
まずは、相続の開始を法務局に届け出る必要があります。これは、被相続人の死亡によって自動的に開始されますが、相続手続きを進める上で重要なステップです。
2.必要書類の収集
名義変更には様々な書類が必要となります。主な書類は相続関係説明図・遺産分割協議書・自動車検査証などです。
その他、書類についての詳細は「名義変更に必要な書類」の段落をご参照ください。
3.各運輸支局での手続き
必要書類が揃ったら、車の登録地を管轄する運輸支局へ行き、名義変更手続きを行います。窓口で必要書類を提出して手数料を支払います。そして、申請書に必要事項を記入して提出します。
車庫証明が必要な地域の場合は、事前に車庫証明を取得しておく必要があります。手続きが完了すると、新しい車検証が交付されます。
軽自動車の場合
必要書類は普通自動車とほぼ同じですが、軽自動車税申告書なども必要になります。詳しくは、全国軽自動車協会連合会のWebサイトなどをご参照ください。
後々のトラブルを避けるためにも、名義変更手続きについてご不明な点がある際は、「運輸支局や軽自動車検査協会」または「行政書士」などに相談することをおすすめします。
名義変更に必要な書類

車の所有者が亡くなった場合の名義変更には、いくつかの書類が必要になります。相続の方法や車の登録状況によって必要書類が異なるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
ここでは、一般的なケースで必要となる書類を「相続による名義変更」と「譲渡による名義変更」に分けてご紹介します。
相続による名義変更の場合
相続で名義変更を行う場合は、以下の書類が必要です。戸籍謄本や印鑑証明書などは、比較的新しいものが求められることが多いので注意しましょう。
譲渡による名義変更の場合
相続ではなく、特定の相続人に譲渡する場合、以下の書類が必要になります。「相続」の場合に必要な遺産分割協議書などの書類は不要となります。
必要書類は状況によって異なるため、不明な点は「困った車買取専門®船橋店」へお気軽にご相談ください。
サザエさん一家で例えた場合
ここでは、「相続の場合」と「譲渡の場合」の手続きについて、サザエさん一家を例に挙げてご説明します。
例えば、亡くなったのが波平さん(故人・車の持ち主)だった場合、法定相続人は…
- フネさん(妻)
- サザエさん(娘)
- カツオくん(息子)
- ワカメちゃん(娘)
相続の場合
例えば「波平さんの車はカツオくんが相続する」と決めた場合、カツオくんが「私は正式に車を相続しました」と証明するために「遺産分割協議書」などが必要になります。
譲渡の場合
① まず、相続人の中で「フネさん」が車を相続したとします。
② その後、フネさんが「やっぱりカツオに車をあげよう」と言って譲渡する場合、フネさんが相続人として相続したあと、カツオくんに「譲渡」する形になるので「遺産分割協議書」は不要です。
なぜなら、すでにフネさんが自分の所有物として車を相続しているからです。必要なのは、フネさんがカツオくんに渡すときの手続き書類(譲渡証明書など)だけです。
まとめると
まとめ:成年後見人からのご依頼にも対応いたします
この記事では、車の所有者が死亡した場合の名義変更手続きについて、その必要性から具体的な手順、必要書類までを詳しく解説しました。
ご家族が亡くなられたときの車の手続きは、名義変更や処分など、多くの方が戸惑われる場面だと思います。
また、成年後見制度を利用している場合は、一般的な手続きとは異なり、必要書類や流れが特殊になります。そのため、他店やディーラーでは対応が難しいこともあることが想定されます。
「困った車専門®船橋店」では、成年後見人の方からのご依頼にも対応しております。
また、「相続はせずにそのまま廃車にしたい」というケースにも、もちろん対応可能です。法律や手続きが複雑で、どうしていいかわからないときこそ、私たちにご相談ください。
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